「うちは関係ない」「うちのデータなんか盗まれても困らない」——そう言う経営者ほど、最初に狙われます。
サイバー攻撃の世界では、規模の大小は関係ありません。攻撃者は、守りの甘い会社を自動的に探し出し、静かに侵入します。社長が知らないうちに、取引先や顧客情報が暗号化され、人質に取られる。これはもはや“ITの話”ではなく、“経営の話”です。
そして、最も多いのは「対策をしていなかった会社が、被害に遭ってから後悔する」ケースです。セキュリティは“売上を生まない投資”ではありません。“倒産を防ぐための最低限の備え”です。
いまだにウイルス対策ソフトを導入していない企業があります。しかしそれは、車を運転しながらシートベルトを締めないようなものです。事故を起こすつもりがなくても、起こるときは一瞬です。
ランサムウェアは、メールを開くだけで感染します。年間数千円の対策費で会社の資産を守れるなら、それは「コスト」ではなく「経営判断」です。
「NASに入っているから安心」「クラウドに保存しているから安全」——これが一番危険です。ランサムウェアは社内サーバーもクラウドも暗号化します。ネットに繋がっているものは、すべて人質に取られます。
バックアップは、ネットワークから切り離した“オフライン”環境にもう1つ作ること。たとえ感染しても復元できる会社だけが生き残ります。
「社長のアカウントでみんなが使ってます」——これは、家の鍵を全員に配っているようなものです。退職者が出た瞬間に、玄関も金庫も誰でも開けられる状態になります。
社員ごとにアカウントを分け、管理者権限を明確にする。それだけで、外部からの不正アクセスリスクを大幅に下げられます。
Windowsやルーター、プリンターなどの更新を放置していませんか? 攻撃者が狙うのは「1年以上前に修正された古い脆弱性」です。つまり、守りを怠った会社だけが狙われる。
更新とは、単なるメンテナンスではなく「攻撃者とのいたちごっこに勝ち続ける行為」です。面倒でも、月1回の更新を社内ルールにしましょう。
サイバー攻撃は技術の問題ではなく、経営の問題です。 被害を受けた企業の社長は必ずこう言います。 「詳しくないから、任せていた」と。
しかし、取引先・顧客・社員にとって、 “知らなかった”では済まされません。 社長が理解していないことは、社員も本気になれません。 経営者が「守る意志」を示した瞬間から、会社の意識は変わります。
サイバー攻撃の被害は、金銭だけではありません。 失うのは、社員の信頼、顧客との関係、そして会社の名誉です。
セキュリティを怠った経営者は、被害の中心に立たされます。 そして被害が出たとき、社員が責任を取って辞職し、会社は弱体化する。 そうなる前に、“守る仕組み”を作りましょう。
セキュリティは、ITではなく「経営の良心」です。 “何もしないこと”が、最大のリスクです。